目標管理で適切な人事評価ができない理由

組織論

ほとんどの会社が目標管理制度、能力意欲制度、業績で評価しています。

しかし長期的な経営目線で考えたとき、目標管理制度は組織を歪ませてしまいます。

目標管理制度の由来

目標管理制度はMBO(Management by Objectives)とも呼ばれ、P.F.ドラッカー氏が1954年に著書『現代の経営」で提唱したマネジメント手法です。

ドラッカー氏は1954年に当時GE(ゼネラル・エレクトリック)社の顧問を務めており、著書『現代の経営』で提唱したMBOは、1960年代には全米の企業に大々的に広まっていきます。

1980年代に入ると、その効果が疑問視され見直す企業も増えましたが、業績評価手法として米国の多くの企業に定着していきました。

日本企業でも、バブル経済崩壊後の1990年代から導入され始めました。日本企業が、年功序列型の雇用制度から成果主義の人事に移行していった時代で、年俸制の導入や評価制度としての目標管理制度の導入が進みます。

しかし、本来、ドラッカー氏が提唱した目標管理制度とは、社員自らが自分で目標を決めて取り組むことで社員のモチベーションアップを促し、それを企業の成果につなげるマネジメント手法であり、評価のための手法ではありませんでした。

本来のドラッカー氏が提唱したものとは異なる使い方をしているのが、現在の目標管理制度です。

目標管理制度の問題点は何か

ここでは、具体例で考えていきましょう。

まず、会社全体で次期に取り組む課題を3個程設定します。そして、上司のAさんと部下のBさん、Cさんで会社の方針に添った目標を設定し、期間を通じてこれに集中し成果を出すことで人事評価をすることにしました。

無難な目標設定になってしまう

Bさんは最初は高い目標を掲げていました。しかし、高すぎる目標にしたため、達成率が低く、低い人事評価になってしまいました。一方、無難な目標にしていたCさんは、目標達成率が高く、高い人事評価をもらうことができました。

周囲からの評価ではBさんの方が良かったにもかかわらず、無難なCさんが高い給料をもらうことになります。このことを知ったBさんはその後無難な目標を立てるようになりました。部下の目標達成率をあげたい上司のAさんも無難な評価を推奨するようになります。

このように、上司の手前良い目標を立てたいと思う一方、達成度を上げるためにハードルを下げてしまい、無難にこなせる設定になってしまいます。

どんなに社長が挑戦的な活動を応援しようと伝えても、会社の評価制度がそうでないため無難な活動しかしない会社になっていきます。

目標以外の活動をしなくなる

もともと会社に関心が薄かったCさんは、引き続き無難な目標とその達成のみ取り組みます。一方、会社をもっとより良くしたいと考えていたBさんは、他の人のサポートなどの目標管理にないことでも取り組んでいました。Bさんのおかげで会社はよくなり、業績は上がっていましたが、目標にはない活動のため評価は変わりません。むしろ、無難な目標設定を行うCさんの方が評価が上がっていきました。

会社のために頑張っても評価されないBさんは、同じく目標達成のための活動しかしなくなりますが、将来性を感じなくなったBさんは自分の活動を評価してくれる他社に転職してしまいました。

このように目標管理による人事評価をしてしまうことで、それ以外の活動をしなくなります。本来会社の業績UPに貢献していた人も、評価されないことで会社から去ってしまい、最終的には業績が下がってしまうでしょう。

そもそも評価基準が属人的である

ここまで、目標管理制度を人事評価に用いることによる弊害を述べてきました。

しかし、そもそも目標のレベルは上司の見識に左右され、評価の精度についても同様に属人的です。多くの上司がいる中で、目標設定も多岐に渡りますので、採点基準が揃うことはなく、仮に部署内で整合性は取れたとしても、全社的な観点では整合性がとれないことになります。

期末には評価を本部に提出する必要があり、本人および上司が継続的に意識して取り組まなかった場合でも評価することになり、時に曖昧に済ます実態も想定されます。

上司は部下の能力を上げたというエビデンスを会社に示す必要があったり、部下に嫌われたくないという心理から評価を歪めてしまうかもしれません。

明確な任務があり設定した内容のみを実行すれば業績に直結する場合は良いのですが、設定した目標より重要なテーマが期中に多数発生する業務、職種の場合には直近のテーマと設定した目標のどちらを優先するのか曖昧になってしまいます。

もし期中に見出したテーマに目標管理の内容を変更するとしても、それ自体が煩雑に感じることでしょう。業務によっては毎期新鮮な気持ちで取り組めるテーマを見出すことが難しいことも想定されます。

このように多数の問題を内包していることは明らかにも関わらず、依然として評価制度の中核にしている会社が多く、根幹から手法を変える時期に来ています。

その他の評価制度の課題

その他にはどのような評価制度があるのでしょうか?例えば、業績評価にするという方法もありますが、こちらも課題があります。

業績評価の課題

会社の土台を維持するためには、業績は最も重要です。

かと言ってこれだけで評価することが正しいのかと言えばそうとも限らないのが難しいところです。

担当するユーザーやエリアの動向に左右される不可抗力や新規開拓が可能な場合とそうでない場合があり、本当の実力以外の要素が絡むことはよくあることです。

突出してできる人は運不運に関係なく実績を残し、突出してできない人は数字が落ちることだけは正しく評価できますが、その他中間の80%は景気の動向に比例し適切な評価ができなくなります。

さらに、実力があると思われている人は数字が悪かった場合「不運だったのだろう」、実力がない人は数字が良かった場合「たまたまだろう」と斟酌しがちですし、実際にこうした補填が必要なことも実感としてあります。

もっと良い組織づくりを実現する評価制度を目指して

会社は各人の責任範囲を明確にするものですが、その責任範囲のみ取り組み、それを超えなくて良いと考えているのではなく、常にアンテナを広げ、危機を察知し、好奇心と向上心で武器を生み出す人材、本当に貢献している人材、将来会社を背負う人材を評価したいのが本音のはずです。

特定の上司による属人的評価が「上を見て仕事する」姿勢を助長する根源で弊害を生みますし、本当に正義感に燃える仕事好きな人は評価のための評価、その手間が無駄に感じるでしょう。

そう考えると、仕事に没頭して結果を残し、周囲に良い影響を与える人が自然に、多面的に評価される仕組みこそが生き残る会社に必要な仕組みではないでしょうか?

例えば、

  • 小さな改善をいつも発信している
  • 大きな戦略を考えている
  • 将来への布石を考えている
  • 常に学んでいる
  • 有効な提言をする
  • 危機を察知する
  • 問題を解決する方法、考え方に安定感がある
  • 常に人のために動き、考え、常にgive&give
  • 損得の前に、まずは正義感とお節介
  • 大胆で繊細
  • 考えるが悩まない。
  • 慎重で決断力がある
  • 現実的でビジョナリー
  • 具体的戦術と夢をもって皆を勇気付ける

などを評価する仕組みです。

Mierunoでは、その方法として日報評価制度を提案しています。

日報を読んだメンバー同士で

  • 能力意欲
  • コンピテンシー
  • 人の本質

はなかなか変わらない、人としてあるべき普遍的能力を列挙し、どの程度該当するのかで評価しようというものです。日報評価制度は、良い影響を各所で与えており、その総量を拾うことで本当に評価すべき人を正しく評価するための人事評価制度です。

この評価制度の良いところとして、会社が求める人物像を示しやすくなることがあります。

会社が求める人物像を示すことで、全員のベクトルを合わせる意味を持ちます。 人間性そのものを問うものであり、毎年実施しても各人の点数が大きく変化しない傾向が見られます。

会社がどのような風土を目指していくのか、どのような気質のメンバーを重要視しているのかを浸透させることが可能になるのです。

Mierunoはこれらの課題を解決できるサービスとなっております。
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情報共有・教育・評価・チーム力・経営力。 この複数の要素は、個別の要素、個別のタスクと考えられがちですが実は表裏一体です。 お互いの活動や貢献、思考の深度が見えない・見ていない、そして評価につながらないという実態だとすれば正しい経営をやりづらい状況になります。 Mierunoは日報評価制度をベースとした経営支援クラウドを提供することで、これらの複数の要素が合理的に向上する仕組みを実現します。
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