会社の組織とは?組織の種類と最適な組織の作り方。ティール組織も併せて解説

人材と人財

会社勤めをしている人なら必ず所属しているのが「組織」です。しかし、その組織の形は会社によって異なります。それではなぜ会社によって組織の形は違うのでしょうか。

また、組織の形にはどのようなものがあるのでしょうか。この記事では、会社の組織形態の種類と会社にとって最適な組織の決め方までを事例を交えて解説します。

また、不確実性の高い現在の状況において効果的とされる組織の形「ティール組織」についても解説します。

1.会社にとって組織とは

組織の定義

まず初めに組織の定義について確認しましょう。広辞苑によると組織とは「ある目的を達成するために、分化した役割を持つ個人や下位集団から構成される集団」と定義されています。

また、アメリカの経営学者であるチェスター・アーヴィング・バーナードは組織をシステムとして捉え、「意識的に調整された2人またはそれ以上の人々の活動や諸力のシステム」と定義しました。

このように組織の定義とは様々で明確な1つの定義はありません。しかし、組織運営や人事において良く引用される定義はバーナードによる定義であるため、今回はバーナードの定義を前提に解説します。

組織の3要素とは

バーナードが定義した組織の成立には欠かせない3つの要素があります。

・共通目的

会社にとっては企業理念やビジョンにあたります。集団に属する人たちが、1つの同じ目的を持つことが組織を成立させるためには欠かせません。

ばらばらの方向を向いていては烏合の衆でしかなく、組織とは言えないということになります。この共通目的は社会に受け入れられるものであり、かつ市場で有効なものである必要があります。

・協働意思

組織のメンバーと共に働き、組織の役に立ちたいという意思を持つことです。

同じ目的の下に集まったとしても、組織のために頑張りたいという気持ちがなければその動きはばらばらになってしまいます。

・意思疎通

組織のメンバー同士の意思疎通があるからこそ組織が成立します。また、ここでいうメンバー同士とはリーダーとメンバーの意思疎通も含みます。

意思の疎通が上手くいっていない場合は組織の運営も円滑には進まないことが多いでしょう。集団を組織として成立させ、円滑に運営するためには意思疎通が欠かせません。

組織構造とは

組織構造とは、企業内の業務や、権限、職種などを分類した仕組みのことを指します。企業によってその形は様々であり、企業の考え方や業種などによって適切な組織構造の形は異なります。

組織構造は大きく以下の5種類に分類されます。

  • 事業部制組織
  • 機能別組織
  • プロジェクト制組織
  • カンパニー制組織
  • マトリクス組織

組織ごとにメリット・デメリットが存在し、一概にはどの組織構造が良いとは言えません。

そのため組織を作る際には、自社にとってどういう構造が最適かを考える必要があります。詳しくは4章にて解説します。

ピラミッド型組織とは違う組織形態

前項で解説した組織構造は基本的にどの組織構造であってもピラミッド型の組織になっており、上司が部下の管理を行う事になっていることが多いです。

しかし、ピラミッド型組織とは異なる組織の形として提唱されているのがティール組織です。ティール組織とは上司が部下の管理を行わず、従業員一人ひとりが意思決定権を持ち、自己決定を行う自律的組織を指します。ティール組織については5章で詳しく解説します。

2.会社に最適な組織の作り方

組織構造の6要素とは

・専門化

1つの仕事を始めから終わりまで1人が全て行うのではなく、仕事内容をいくつかの段階に分けて業務の専門性を高めることを専門化といいます。

専門化によって仕事の効率が上がり、生産性を上げることが可能です。しかし、専門化が進みすぎると、視野が狭くなったり、全体最適が図りづらくなったりとデメリットもあります。

・部門化

部門化とは、専門化した仕事を部門という1つのまとまりにすることです。職務、商品、勤務場所、プロセスなどによって部門化されていることが多いでしょう。

部門化によって、共通点を持った仕事が1か所に集約されるため、効率的な組織運営が望めます

・指揮命令系統

指揮命令系統とは誰が誰に報告をして、誰の指揮命令を受けて業務を行うのか、ということを明確にしたものです。指揮命令系統を定めておくことで、報告先や責任の所在などを明確にすることができます。

・管理範囲

管理範囲とは1人で何人の部下を管理するのかということを定めたものになります。管理範囲は組織を管理する人が効率的かつ効果的に組織を運営できる範囲でなくてはなりません。

管理範囲は従業員の能力や職務、業務内容によって左右されます

集権化と分権化

組織の意思決定権限を1点に集中させるのか、それとも複数に分散するのかということが集権化と分権化です。1点に集中されているのがトップダウン型の組織です。

一方、分権化組織では組織の多くの人が意思決定に携わることになります。そのため、従業員のモチベーション向上にもつながります

公式化

公式化とは業務内容を細かく定義し標準化していくことをいいます。公式化が進んだ組織では、業務がマニュアル化されていることから安定的に業務を回すことができ、比較的誰がやったとしても成果を上げることができるようになります。

一方で、公式化されることでその業務に従事する従業員の裁量権が減るためモチベーションを下げる要因にもなりえます。

会社に最適な組織構造を決める重要なポイント

最適な組織の形は会社によって異なります。ではどのように最適な組織構造を決めれば良いのでしょうか。組織構造を決める際には6つの要素を考える必要がありました。

これらの要素を1つずつ考えていく上でポイントとなるのが外部環境と経営戦略です。この2つのポイントを考えることで会社にとって最適な組織の形が見えてきます。

・外部環境を把握する

外部環境とは、社会情勢や会社事業を展開する市場、競合企業の状況などを指します。高い専門性が必要にある状況なのか、それともスピード感が最も重要な状況なのか、その時に必要なものによって適する組織構造は異なってきます。外部環境を十分に分析し、現状を正確に把握することが重要です。

・経営戦略に基づいて判断する

外部環境と併せて重要なのが経営戦略です。外部環境に対して、会社はどのような戦略をとって環境に適合し企業価値を高めていくか戦略を練る必要があります。

戦略の練り方は企業の考え方や保有する資産などによって変わるので全く同じ組織構造になることはありません。現在の外部環境の中で最も企業価値を高められる組織構造とは何かということを、保有資産や企業が掲げるミッションから考えましょう。

3.5つの組織構造の解説と導入事例

各部門が分かりやすい事業部制組織

事業部制組織とは、製品や顧客、担当地域別に部門を区切った組織のことです。複数の事業を行っている企業で多く見られる組織構造です。部門内に営業やマーケティング、カスタマーサクセス、開発など多くの職能が存在します。

メリット

  • 担当事業に関する知見が蓄積される。
  • 事業部ごとに業務プロセスが完結されるため、収支が明確となる。
  • 事業部に権限移譲ができるため、意思決定のスピードが上がる。

デメリット

  • 事業部間で機能や業務の重複が起きる。
  • 機能や業務を事業部ごとに持つことから、機能ごとの専門性が蓄積されずらい。
  • 事業部ごとに最適化が図られ、全社最適が図りづらい。

導入事例:東レ株式会社

事業部別組織を取り入れている企業は東レ株式会社です。繊維やフィルム、医療医薬品など事業部門ごとに本部がわかれています。ただし人事や財務といった専門性の高いコーポレート機能については各事業部に存在しておらず別部門として独立しています。

詳しくはこちらを参照ください。

専門制に特化した機能別組織

機能別組織とは、営業、マーケティング、開発、生産など機能ごとに部門を区切った組織のことです。機能ごとの組織の中に事業や商品ごとに部門が設けられます。1つの事業を行っている企業でよく見られる組織構造です。

メリット

  • 機能ごとの知見が蓄積され、専門性が高くなる。
  • 従業員の専門性も高められる。
  • 部門ごとに役割分担が明確になる。

デメリット

  • 機能ごとの連携が悪くなる。
  • 事業の収支に対する責任の所在が不明確になる。

導入事例:株式会社セブン&アイ・ホールディングス

機能別組織を導入しているのがセブンイレブンを運営する株式会社セブン&アイ・ホールディングスです。経営や財務、人事、グループDXなどその役割・機能別に組織を分けています。また、各事業は別に会社として分社化されており、カンパニー制も取り入れられています。

参照:株式会社セブン&アイ・ホールディングス 組織図

効率重視のマトリクス組織

マトリクス組織とは機能別組織と事業部別組織をかけ合わせて構成された組織です。事業部別、機能別を統括する組織が存在し、1人の従業員が両方の組織に属する構造になります。

2つの組織が掛け合わされていることから、それぞれのメリットを持ちますが同時に掛け合わせたからこそのデメリットも有します。

メリット

  • 機能別の専門性と事業部別のスピードを併せ持つ。
  • 機能の重複が生じづらく、効率的。

デメリット

  • 2つの組織に所属することで指揮命令系統が二重化するため混乱が起きやすい。
  • 会社内部の利害調整に割かれる時間が多くなる。

導入事例:マトリクス組織の事例:花王株式会社

マトリクス組織の事例として挙げられるのが花王株式会社です。花王は機能別と事業部別の掛け合わせでマトリクス組織を構成しており、新規事業の推進、イノベーションの創発、科学技術の社会共有を目的としてマトリクス組織を選択しています。

参照:花王サステナビリティ データブック 組織体制図

意思決定に差がつくカンパニー制組織

カンパニー制組織は事業部ごとに分社化した組織構造のことです。そのため、カンパニー制組織は事業部別組織を拡大したものといえるでしょう。

事業部別組織との大きな違いは、意思決定権限の委譲度合いです。カンパニー制組織は事業部別組織に比べ重要な意思決定も行えるように権限移譲されています。また、会計上も完全に独立しています。

メリット

  • 意思決定と業務遂行のスピードアップ。
  • カンパニーごとに独立会計となるため、より収支を意識した経営が可能になる。
  • 経営人材の育成につながる。

デメリット

  • 事業ごとに独立性が高くなるため全社最適をより図りづらくなる。
  • 事業ごとのシナジーが生まれづらくなる。
  • 各機能がカンパニーごとに必要になり、全社的にみて機能が重複する。

導入事例:楽天グループ株式会社

カンパニー制を取り入れている企業に楽天グループ株式会社が上げられます。

楽天グループは多くの事業を行っている企業です。事業ごとに会社化しスピード感ある事業推進を行っております。

参照:楽天グループ株式会社 企業情報 組織図

最適な配置で行うプロジェクト制組織

プロジェクト制組織とはチーム型組織ともいわれ、プロジェクトごとにチームを形成する組織構造です。これまで解説した4つの組織構造と異なり、プロジェクトごとに違う職種の人を集め構成され、プロジェクトが終わるたびに解散される短期的な組織構造になります。「プロジェクト・チーム」や「タスク・フォース」とも呼ばれます。

メリット

  • プロジェクトに最適な人材で構成されるため、少数精鋭でスピード感を持って業務が遂行される。
  • 異なる専門性を持った人材が集まるため、イノベーションを起こしやすい。

デメリット

  • プロジェクトが中心となるため、プロジェクト遂行が優先され他がないがしろにされやすい。
  • メンバー一人ひとりが強くなるため、まとめあげるリーダーに高いマネジメント能力が必要。

導入事例:プロジェクト制組織の事例:ランサーズ株式会社

プロジェクト制組織を取り入れている企業にランサーズ株式会社があります。ランサーズではこのプロジェクト制組織のことをタスクフォースと呼んでいます。

タスクフォースは特定の課題を達成するために各部署から横断的にメンバーを選抜し構成されています。ランサーズでは緊急性が高く、部署を横断して行う必要があるタスクが発生した場合に結成されています。

参照:Lancers New Normal 〜流動性の高い開発組織へのチャレンジ〜

5.次世代型組織「ティール組織」とは?

ティール組織とは?

ティール組織とは2014年にフレデリック・ラルーによって執筆された「Reinventing Organizations」によって紹介されている組織論です。日本では2018年に「ティール組織」のタイトルで発刊され、これまでの組織論とは異なる新しい組織モデルとして話題を呼びました。

フレデリック・ラルーは組織の進化過程を5つに分類し、それぞれの段階に色の名前を付けました。進化の最終段階には青緑色を意味するティール(Teal)という名前を名付けたことから、ティール組織と呼ばれています。

ティール組織は従来のピラミッド型組織とは異なり、上司が部下の管理を行わず、従業員一人ひとりが意思決定権を持ち、自己決定を行う自律的組織を指します。

ティール組織についてさらに詳しく知りたい方は「ティール組織の理解・導入が現状の経営環境の厳しさを打破できる理由」をご覧ください。

ティール組織とホラクラシー組織

ティール組織と共に語られることが多い言葉が「ホラクラシー組織」です。ホラクラシー組織とは、組織内に上司や部下といったヒエラルキーが存在しないフラットな組織のことを指します。

ティール組織と同一の言葉のように思えますが、同一ではなくティール組織の1つの具体的な形としてホラクラシー組織があります。ティール組織とホラクラシー組織の大きな違いは、明確なビジネスモデルがあるかないかという点です。

ホラクラシー組織の場合、明確なビジネスモデルが存在するため、そのモデルに沿って組織に導入・運用します。そのため、再現性高くフラットな組織を構築することができます。一方、ティール組織には、明確なビジネスモデルはありません。その分、ホラクラシー組織よりも組織の形の自由度が高くなるため、抽象度の高い概念といえるでしょう。

ティール組織の成功事例

ティール組織の成功事例は「ティール組織の理解・導入が現状の経営環境の厳しさを打破できる理由」の成功事例をご覧ください。

6.ティール組織に至るまでの過程

5つの組織モデルを解説

フレデリック・ラルーは組織の進化過程を5つに分類し、それぞれの段階に色の名前を付けました。レッドがもっとも原始的な組織形態であり、ティールが最も進化した組織形態になります。それでは各組織の特徴について見ていきましょう。

・レッド(Red)組織

レッド組織は衝動型組織とされます。現代においてはギャングやマフィアがレッド組織にあたります。組織の特徴は、組織を力によって支配的に運営するということです。

また、レッド組織にとって最も重要なのは「今」になるため、計画や戦略は得意ではなく、短期的な視点で動く傾向があります。

・アンバー(Amber)組織

アンバー組織は順応型組織とされます。現代においては軍隊や宗教団体にあたります。組織の特徴は、ピラミッド型の組織であり、正式な役職、固定的な階層、組織図が決められた指揮命令系統が明確な事です。

また、前例踏襲が基本であり過去の経験に基づいて将来の計画を立てていきます。そのため変化の激しい時代において、前例が意味をなさなくなると対応しきれなくなる特徴も有します。

・オレンジ(Orange)組織

オレンジ組織は達成型組織とされます。現代においてはグローバル企業にあたります。組織の特徴は、アンバー組織と同様にピラミッド構造を残しながらも、横のつながりを持ち、実力主義であるということです。複数の部門や職種にまたがってつながることや、実力主義を採用することで、アンバー組織寄りも柔軟性が高くイノベーションを起こしやすくなっています。

しかし、実力主義であることから人間関係よりも業務遂行を優先させます。その結果、機械のように働くことになり、人間らしさを失ってしまうという負の側面もあります。

・グリーン(Green)組織

グリーン組織は多元型組織とされます。現代の組織でこの段階にある組織も少なくはなく、サウスウエスト航空等が当てはまります。グリーン組織の特徴は、オレンジ組織の実力に基づく階層構造を残しながらも、意思決定の大半を現場の社員に委譲していることです。

グリーン組織においてリーダーはサーバント・リーダーと言われ、部下に耳を傾け、動機付けをし育成を行います。また、会社が共有する価値観を重視する文化を持つことも特徴です。

グリーン組織は多様なメンバーの意見を尊重することで全てのメンバーにとって働きやすい環境を目指すことから「家族」にも例えられます。しかし、多様なメンバーを尊重する必要があることから合意形成に時間がかかるという面もあります。

ティール(Teal)組織

ティール組織は進化型組織とされ、1つの生命体に例えられます。特定の誰かが指示を出すというヒエラルキー構造はなく、組織のメンバー一人ひとりが1つの目的を実現するために共鳴しながら動きます。

ティール組織に必要な3つのブレークスルー

ティール組織に至るためには3つのブレークスルーが必要です。ここでは3つのブレークスルーについて解説します。

セルフマネジメント(自主経営)

1つ目はセルフマネジメントです。ティール組織では、特定の誰かからの指揮命令によって組織が運営されるのではなく、組織の目的を達成するために、個々のメンバーの主体性に基づき組織が運営されています。セルフマネジメントとは、このようなメンバー一人ひとりの主体的な行動によって成果を上げていく事を指します。

こういった組織運営をする場合に欠かせないのが権限の委譲と信頼です。また、セルフマネジメントを促すために、情報の透明化と人事プロセスの明確化等、会社の環境を整備することも必要となります。

・ホールネス(全体性)

2つ目はホールネスです。ホールネスとは、メンバーの持つ能力や個性などの特性全てを最大限尊重し、受け入れることでメンバーの心理的安全性を確保することです。

心理的安全性を確保することで、各メンバーが自主性を発揮しやすくなりメンバーの持つ力を最大限発揮させることが可能になります。

・エボリューショナリー・パーパス(存在目的)

3つ目はエボリューショナリー・パーパスです。存在目的と訳され「何のために組織が存在するのか」という目的のことを指します。存在し続けることで、周りの環境も変わっていくため、存在目的も変えていかなくてはなりません。

組織としての陳腐化を防ぎ、生命体として進化を果たすために、ティール組織は存在目的を常に確認し続けることが必要です。

7.まとめ

今回は会社組織に関して解説してきました。これまで漠然と使っていた組織の意味や成立の3要件を知ることは、円滑な組織運営の助けになります。

また、ティール組織についても解説しました。ティール組織とはこれまでのピラミッド型組織とは異なる新しい組織の形です。ティール組織はメンバーの自律性やその自律性を尊重する環境や制度を整えることが不可欠であり、一朝一夕になることはできません。

また、全ての会社においてティール組織が会社の発展に寄与するとも限りません。最適な組織の形は会社によって異なります。

どの組織構造にするのか、ティール組織が会社にとって適しているのか、など自社にとって最適な組織の形を見極め、会社の発展を目指しましょう。


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